建築の素材
開催日:2015年12月19日
ゲスト:辻琢磨(403architecture [dajiba])
執筆者:Koji Mototake
「拝啓」
年末ということもあり、予定していた鉄道旅行を楽しみつつ、ゆったりと403dajibaに思いを馳せ、、、レビューしていこうと
思ってた2015年の大晦日・・・新年早々、いろんな試練に見舞われましたwww 今回はボクの話を交えつつ、
プレゼンターの辻さんへ宛てた、”4つの手紙” として、”ケンチクの素材”を紹介していきたいと思います♬
ケンペケ2016年も、楽しくPLAYFULに盛り上がりますように!” - Koji Mototake
ケンペケさん宛を含めた5つの手紙は、
僕自身の体験をもとに製作した 5つのポストカードのコラージュ作品と対になっています。
ちなみに作品は現在、PAUSE & FORWARDというタイトルで、沖縄のコザという町で展示されてます(笑)
この町は第二次大戦後に建設された、東アジア最大の米軍基地とされる 嘉手納基地に隣接し、
当時米軍人を相手にした商売や娯楽サービスが 急激に栄え、発展していきました。 戦後の沖縄で生き抜くため、
異文化を受け入れながらも、沖縄独自の価値観を反応的に組み込み「チャンプルー」といわれる独特の文化を形成し、
そこには、人々の生きるエネルギーという想像力に満ち溢れていました。
そんなコザも現在は、昔の面影を残しつつも、 かつてのような活気はなくなり中心街さえも シャッター街と
化してしまいました。 「生きるエネルギー」を失い、PAUSE(一時停止)した町はいま、
若い人達と共に、FORWARD(進む)方法を模索しています。
403dajibaの今までの活動をレビューすることで、 コザ/鹿児島/浜松という別々の地方都市を皆さんの想像力で繋ぎ、
都市と共に生きる方法を学んでいきたいと思います。
1:「生きてる?」
楽しい旅の話と、いきたいトコロですが!! なんと、カンボジアからバンコクへ向かうバスの移動中にデング熱が発症してしまい
20時間の長キョリを40度の熱のまま耐え、かろうじてバンコクへ(笑)そこで入った、怪しいクリニックで処方された
薬漬けになりながらの、デングウイルスとの戦いの記録を報告をすることとなりましたww
しかしながら、いまボクは
“あ〜〜生きてるっ!!”という実感に包まれてます(笑)
苦しかったけど、話のネタにもなるし、耐性もつき、強くなった体を手に入れ、
結果的に感染してよかったかな??と、思い返すこの頃です〜♬ - Koji Mototake
そんな感じで(笑) 僕自身、デング熱感染によりPAUSE(ドクターストップw) しながらも、ウイルスとの激闘(笑)
を経て、強い肉体と精神を手に入れた(FORWARD)。 という、自虐ネタww を織り交ぜながら、”ケンチクの素材”
レビューしていきます♬
2:「感染♪」
日本国内で2014年に、70年ぶりに確認されたそうです。 東南アジアでは感染率はかなり高いですが、
人から人の感染ではなく、蚊を媒介するため 「 1:ウイルス 2:蚊 3:感染者 」
この3要素が揃い、繁殖できるだけの環境が今までなかっただけ、とのことらしいです。
グローバル蚊(化)により、人の動きが流動し、東南アジアとの経済格差もフラットになり始めたことも
原因の一つかもしれませんね〜♬
そんな、デングウイルスの感染力、、、それは彼らの”生きる欲求”だと思うのです!!
ボク自身は逆に、自分を流動化してしまったがために、感染してしまった次第ですが(笑) – Koji Mototake
例えば、手紙で書いた三要素を 「1:素材(マテリアル) 2:建築 3: 都市 」と置き換えてみると、403っぽいんです(笑)
辻さんがプレゼンの中で マテリアルとは、建築に関わるいろんな要素のことを言ってました。
従来の都市では、1:にあたる素材(マテリアル)が、 繁殖生存するという性質をもたなかったため、 プライベートな所有物と
して分離され私有財産化し 、格差が生まれてたように思います。しかし、
403の活動をみてると、1:の素材(マテリアル)の流動化により、2:の建築を媒介していくことで、いままで分離 /区別され
止まってた、3:の都市にに感染蔓延していってる。。。 現在は、R=300という浜松市のエリア内ですが 、3つの要素を
整えていくことで、同時多発的に都市に広がっていく、パラレルワールド!!を感じました。
素材(マテリアル)を繁殖させる方法として 、例えば、作る/壊すといった過程を等価にする。 それは、素材(マテリアル)を
フラット化し、ヒエラルキーなく建築を横断させていくことで 固定されてた素材(マテリアル)が流動性を持ち、
繁殖可能性を見出す=生き残る方法。 403自身も設計だけじゃなく、すべての建築に関わる過程に フラットに入りこむように
この素材(マテリアル)達の生き残る方法と同じように実践していて、すっごいな〜と♬
70年ぶりに、新たな建築感染が確認された感じです(笑)
3:「処方!」
さて、前回からのデング熱ww まず症状なんですが、一つは40度近い高熱。そして、2つに全身に広がる発疹が大きな特徴です。
これがね〜、はんぱなく痒いwww ここから眠れない夜に、体力も精神も消耗・・・そんなこんなで、ようやくたどり着いた
バンコクのクリニック。あきらかに怪しいよな〜〜と思いつつも、薬をもらい・・・
・・・?? 処方箋が、タイ語で読めない!!www 大丈夫か??と検索するも、そもそも、デング熱には特別な薬や
処置法はなく、お医者さんの判断による、とのこと。。。怖っ。 「デングウイルス vs 人類」
一刻も早く、どこでも、だれにでも効くような処方薬を開発してもらい、
世界中の痒みに耐えてる仲間達を、助けてほしいです(笑) - Koji Mototake
さてさて、前回はマテリアルが流動蚊(化)することで、 繁殖可能性を見出すという流れで、建築感染が確認されましたねww
そこで、「感染」の手紙でも話したように、繁殖するためには三要素の2つめ、媒介する対象が必要となります。
辻さんはプレゼンの中で地方都市の魅力は賃料が安いことや、 広い面積を使えることなどを挙げていました。
403dajibaの活動拠点となる浜松市もコザと同様に、 中心市街地の衰退により空っぽになった建築が媒介対象として 潜在的に
多数存在していたんですね。 感染しはじめた都市は、いろんな症状を表します。 たとえばプレゼンの中でも紹介されてた事例の一つ「海老塚の段差」 :物件特有の躯体の段差、床を支えてた大引や、コンクリボンド などを症状として発見し、その場で緊急処方ww
段差は収納スペースとして、大引は階段に、コンクリボンドは 、研磨しテラゾー仕上げに、などその場の特性に反応しながら
周辺の環境や既存とのバランスを巧みに読み替えていきます。
さらに、適応事例を処方箋(タグ付け)として再編集することで、 都市のスペシフィックな部分は敷地や既存構造を超えて
全体へと関連付けられ、同時性/公共性を持っていく。。。 タグ付けとは、「海老塚の段差」/ KY :既存の読み替え/ZT :材料転用/
というように、各事例を処方された複数のタグで管理することで、 各箇所に散らばるプロジェクトを共通の適応方法で横断的に
繋げていきます。 流動化した1:の素材 (マテリアル)は、2:の建築を媒介し感染を広げ、 3:の都市全体が同時多重的に
アーカイブ化されていく。。。 まさにパラレルワールド!!(2回目ww)
浜松のR=300を超えて、日本地図が403ウイルスでカラフルに 染まっていく未来が見え始めました(笑)
4:「生きる力↑」
今年2016年、うちの祖母が88歳の米寿祝いなんです。まだまだ車も運転するし、メールも届きますww ボクはそんな強い遺伝子を
受け継いでるわけで、デング熱なんかに負けてる場合ではないんですね♬
自立神経も久しぶりに回復し、目覚めた朝の爽快感といったら!! その日が、自分の新年の幕開けってぐらいで(笑)
”あ〜〜生きてる!!”という実感に包まれましたww これは、デングウイルスの”生きる欲求”と、祖先からの強靭な遺伝子を
受け継いだ僕との戦いであり、強烈な痛みと痒みに耐え、ものスゴイ量のエネルギーを使いながらも適応した結果、
進化 (FORWARD)した実感=「生きる力」を得たんだと思います(笑)
計4通の痛々しい体験報告という手紙となりましたが ww 僕からの、新年の挨拶とさせていただきます。
2016年も良い都市(年)になりそうですね!! お互いに、健康を大切に(笑)それぞれの居場所で楽しくプレイフルに
生きていきましょう〜〜!! – Koji Mototake
はいさい♬ 皆さん生きてますか〜??(笑) さて、前回の話の中で、1:素材(マテリアル)は2:の建築を媒介し、 3:の都市に
感染していきました。と同時に症状を観察し、処置を施していくことで発見される適応事例をアーカイブ化し共有されていく
という流れでしたね。 。
前回適応した事例として「海老塚の段差」がありました。 ここに住み始めた入居者は403dajibaが予想していなかった 使い方
=セレクトショップを営業し始めたそうです。 これは、都市に対して想像力が開かれた結果の効能として 2:の建築が変化/適応できる環境を備えたともいえそうです。 この副作用といえるような変化は、媒介である2:の建築を、さらなる多様化へと導き
1:の素材(マテリアル)の拡散/ 感染力を強化していくと共に、3:の都市の適応力をも高め続け、 同時並行で組み替えられる
都市構造(遺伝子)は、あらゆる環境の変化に 適応していく能力=生きる力を付けていくだな〜と感じました。
このプロセスは、外側から都市を分解し接続し直すのではなく、生命の進化論的に都市が生き残るための自然の原理であり、 都市と共に生きていく覚悟をもった人々の”生きる欲求”と 都市の”生きる力”が、互いにエネルギーを生み出すことで ゆっくりと、しかし
確実に進化 (FORWARD)していく。。。 そこでの、”あ〜〜生きてる!!”という実感がこそが、403dajibaを含め、一緒に働く仲間、事業主やクライアント、町で共に暮らす人達と 共鳴し、浜松市を超えて人を魅了する原点になってる気がします。
403ウイルスに完全に感染してしまった僕の目には、「マテリアルが流動する風景」が、生き生きと広がっています(笑)
おわり♬
「最後に」
今回は、ケンペケ開催地の鹿児島、403dajibaの拠点である浜松、 そして手紙が展示されてるコザと、どちらも地方であり同様に
いろんな共通課題を抱えてる3拠点を、同じ対象として フラットに考えるきっかけになったかな??ww
都市と共に生きることを考えるということは、自分自身を見つめ直すということでもあり、仲間や家族のこと、日々の生活、
身の回りにある出来事すべてが、素材(マテリアル)として流動していく風景を想像していくことだと、感じました。
話を少し前に戻しまして(笑)僕がこの話をするきっかけとなったデング熱の感染場所、そう、カンボジアはプノンペン!!
現在、僕の拠点となってる都市でもあります♬ カンボジアは現在、急激に経済が発展してきてますが、 つい40年前に起きた
内戦によって一度、国が崩壊 (PAUSE)しました。 戦後、日本含めた海外からの支援協力にも助けられながら 徐々に復興し、
人口は増加、現在のプノンペンは凄まじい勢いで、建築物も増え続けてています。前に進んでるようにも感じますが、成長剤を
投与され強制的に発達してるような違和感もあります。 人々の”生きる欲求”と都市の”生きる力”がリンクしていない感じです。
このように成長スピードが全然ちがう都市においても、都市と共に生きる視点で考えると、共通する課題や解決方法の
共有が可能だよね〜と、思ったりします♬
これから60年、米寿まで57年(笑)ぐらい生きていくなかで、地球という僕たち皆の共通の居場所の住人としても
敷地、町と、そして国も超えて互いに生きていく=進化(FORWARD) していく過程を考えていきたいな〜と思うこの頃です♬
最後に、僕が鹿児島にいくキッカケでもあり、これから共に生きていきたい仲間でもある
ケンペケ主宰、そして祝いだ家の代表、廣瀬卓司aka祝いだ万太郎さんに
心より感謝とお礼を!!オークンチュラム♬
Koji Mototake
■20151219ケンペケ04「建築の素材 第一部」 403architecture dajiba辻琢磨 – YouTube
■20151219ケンペケ04「建築の素材 第二部」 403architecture dajiba辻琢磨 – YouTube
【ゲストプロフィール】
403architecture [dajiba]
辻琢磨 / Takuma Tsuji
1986年 静岡県生まれ
2008年 横浜国立大学建設学科建築学コース卒業
2010年 横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA 修了
2010年 Urban Nouveau*
2011年 メディアプロジェクト・アンテナ企画運営
2011年 403architecture [dajiba]設立
2013年 横浜国立大学非常勤教員
2014年 名城大学非常勤講師
2015年 大阪市立大学非常勤講師
2015年 滋賀県立大学非常勤講師
【執筆者プロフィール】
Koji Mototake
MOKO代表
1983年:沖縄生まれ 南国情緒あふれる美しい海と 空には米軍機が飛び交うなか ノビノビ育つ。
2015年:カンボジアに移住 暖かい人々の笑顔に包まれ 火事、強盗、盗難にもマケズ ノビノビ過ごす。
NOTE (7人のアーティストによるweb上の共有スケッチブック)
London 2009 – 都市の流用
– 4つの手紙の展示場所 –
draw5
– さまざまなジャンルの作者によるドローイング展
主催:sksk / 石垣克子
会場:sksk
場所:〒904-0004 沖縄県 沖縄市中央1-6-18(2F)
13時〜19時(定休火)