建築のしつらえ
開催日:2016年2月6日
ゲスト:山中コ〜ジ(GENETO)
執筆者:大脇淳一*
「建築としつらえ」というテーマで行ったレクチャー。随分と前の事ようにもつい昨日のことのようにも思える。。。。。(僕のレポートが遅れていただけなのだが)
会場の雰囲気やレクチャーの内容は映像で見てもらうこととして。
料理あり!酒あり!(こちらがメインか?)のアットホームな中行われたレクチャー。もっとも興味深く面白い部分の映像はもちろんカット(世の中に出るべきではないものは往々にして一番美味である)されているが、それは世の常。その場で話を聞いているものだけの特権である。映像自体はもうずっと前から公開されているのだが、それでももう一度このことを踏まえて観ていただく価値が十分あるのではないだろうか。
京都に建つ建築は観光目線でみると情緒あふれる風景を体験させてくれるのだが、住んでみてその場に少し根を下ろしてみるとまったく見え方が違ってくる。先日京都に訪れた恩師ととある建物を訪れたのだが、「民芸的」という感想であった。なるほど、他都市で活躍する建築家でも、京都で建築をすると民芸的になるのである。これは何なのか。細部が細かくデザインされていくということなのだろうか。この原因は京都の風土の特性というだけでなく、景観条例なども関係しているのだろうが、他都市の中で見られるような、外観の派手さは少ない。目が行くところはデザインの斬新さ奇抜さではなく細部の細やかさだったりするのではないだろうか。
実は今回のテーマ「建築としつらえ」というのは、ケンペケ主催の一人廣瀬氏と僕とで山中氏に相談もせず一方的に決めたテーマなのであるが、うまくはまったのではないかと思う。いや、山中氏が合わせてくれただけなのだろう。。。
鹿児島と京都を建築的に比較するときに、何が面白いかというと、やはり「しつらえ(設え)」の違いなのではないだろうか。そう思ったのである。何が京都(的)たらしめるのか。京都風を思わせるものとは何かと考えたとき、それは、建物の形態や作り方よりも、細部のデザインの細やかさなのではないだろうかと思ったのだ。もちろん、鰻の寝床といったような京都の住宅を表現する言葉もあるが、鹿児島の建築の場合どちらかというと大らかであったり大味であったり。京都の建築の場合は繊細であったり華奢であったり。(実は筆者は鹿児島出身の京都在住者なのである)
山中氏はデザイン集団GENETOと製作集団PIVOTOを率いている。
生まれも育ちも生粋の京都人だ。
そんな彼からいつも感じ取れるのは、妥協のなさである。
完璧を求めるのではなく、妥協をしない。
そこで今回のレクチャーで僕の心にずっと残っているのは、(技術も価値も高い)工芸を(機械化され大衆化された)民芸に落としたくはない。DIY的だけれども素人っぽさを出したくないということである。
レクチャーの中でこんなことを語っていた。
価値を落とすプロダクトは誰にでもできる。高価なものの価値を残すためのシステムを作ることが大切だ。機械化して価値を下げ、技術が残らない現状を何とかしたい。そこから、プロダクトのデザインだけではなく建築家として空間をアートの作品として残したい。
また、製作集団PIVOTOを抱えることで自分たちがDIY的な活動を行うときに(素人っぽさを出さないという)技術や表現の担保をしてくれる。
彼(彼の率いる集団)が、建築だけでなく、プロダクトや家具、仮設的な空間まで隔てなく手掛けることがうかがい知れる内容である。
ケンペケは、普段直接接することの少ない都市圏で活動する建築家やデザイナーと地方の建築家や学生たちとの橋渡しを目的としたイベント集団である。この活動が、都市と地方の建築の同志たちや、一般の方たちとの交流を活性化し、同じ日本ではあるが、場所が変わると文化も変わる、そんな当たり前のことを身近に感じ取れること。また、この交流をきっかけに自分の建築を改めて見つめなおし、より昇華させるための足掛かりになればとてもうれしいことである。
数時間のレクチャーも終わり、脳も心も腹も満たされた後、夜の部への会場へ酒の匂いを頼りにレクチャー会場を後にするのであった。。。。。
■20160206ケンペケ05「建築のしつらえ」GENETO山中コ〜ジ – YouTube
【ゲスト】
山中 コ〜ジ / KOJI YAMANAKA
1994〜1996 伏見工業高校 産業デザイン科 卒業
1997〜2000 京都精華大学 デザイン学科建築分野専攻 卒業
2002〜2003 京都府立大学 環境デザイン学科 河西研究室
1998〜2003 芸術忍者隊
2004〜 GENETOに改名 東京事務所設立
2005〜 京都デザイン専門学校 講師
2007〜2008 京都精華大学 非常勤講師
2014〜 大阪成蹊大学 准教授
+略 歴:
1980年 ****
【執筆者プロフィール】
大脇淳一/Junichi Owaki
大脇淳一/Junichi Owaki
2001 鹿児島県立錦江湾高等学校 理数科 卒業
2003 九州職業能力開発大学校 専門過程建築科 卒業
2005 九州職業能力開発大学校 応用課程 建築施工システム技術科 卒業
2005 株式会社 岡﨑建築設計室
「COLORFUL」※大脇さんの日々の断片を書き綴ったサイト